通読マラソン

卒論期は重要なとこ以外飛ばし読みしてたから通しで読むと、特に文の流れるリズムにはっとさせられる。
今読んでるのは私の大嫌いな夕霧巻。
以下マニアック『源氏物語』話。


それまで誠実にお世話申し上げてきた夕霧が一転言い寄ってくるので狼狽する落葉の宮。宮ってば本当に気の毒すぎる。報われないヒロイン。夕霧は全くもって許しがたい愚か者に成り下がってる。その一件を病床の御息所が耳にするいきさつなんかは、いつもながら本当にきれいに流れてるなぁとその筆力にうっとりする。
有名な雲居雁が手紙を奪うシーンも秀逸。雲居雁可愛い☆らぶ☆☆夫婦の周りでうろちょろするちびっ子たちも可愛い☆☆てかこんな子育てに追われる貴婦人てこの時代いたのかな?雲居雁だって仮にも右大将夫人なのに。『源氏物語』中ではそういうの記憶にないんだけど…
それにしても徹底して夕霧を愚か者に書こうと執念を燃やしているとしか思えないこの文体は何なんだろう。文体の上で光源氏が柏木を殺してるのと同様夕霧が一条御息所を殺してると読めるかと思うんだけど、ここまで一人の人物を落とすのには何の意味があるんだろう?藤裏葉までの夕霧の扱われ方の流れが綺麗すぎるだけに(藤袴巻の玉鬘や少女巻の惟光娘なんかへ言い寄る場面はどうかと思うけど)意味が分からない。花散里との対話は胸が空くくらいいい役どころだけど。