センチメンタル

……ひろくん、


…ひろくん!!


ひろくんっっ!!!




ひーろーくーん!!!!






ひぃーろぉーくぅぅぅーーんっっっ!!!!!





(解説:海に行ってはしゃいだ後にカラオケなんて行っちゃだめだと思った。疲れ果てているところに泣ける歌なんて聞いたら泣くしかない。弱々しい気分のところに懐かしい曲なんて聞いたら条件反射でセンチメンタルな気分になってしまう。先輩が歌った「こいのうた」は一年のまだ部活にいた頃、大会の打ち上げの度に行くカラオケで同輩がいつも歌っていた曲だ。その男の子は特別歌がうまいわけではなかった。ただしうちの部はうまい人が多くてその中で比べたらって事だし、何より私はその声が好きだった。それに私は声だけじゃなくその人自身が大好きだった。いつも彼氏の話をしたり、彼の昔の恋バナを聞いたりした。夏合宿では日が昇る直前まで語り明かした。深夜3時を過ぎると私は別人格になってしまうことを知ったのは彼と話していた時だ。いつも唯一の女子部員だった私をかばってくれた。私も彼に心から頼っていたし愛していた。実は二人っきりで体育館前の自販機脇に座っていた時、横顔がかわいすぎてキスしそうになった事がある。彼氏に別れ話を持ち出された時に泣きながら電話をかけた相手も彼だ。彼氏の家に押しかけてしまえとけしかけたのも彼だ。彼は「会って話せ」と言った。「会ったら襲っちゃうかもしれない」と言うと「襲ってきてしまえ」と彼は答えた。でも私はそう言った彼の顔が真っ赤だった事を忘れない。九州男児のそんな純真さが好きだった。部の先輩に夢中になった時も話を聞いてくれた。私には夏の定期戦でダブルスを組んだ女の子に対する気持ちを打ち明けてくれた。彼に励まされて京都に押しかけた時に頭でエンドレスにかかっていたのは彼が歌うDragon Ashだ。カラオケではいつも「夏祭り」を一緒に歌わせてくれた。今日も先輩の「こいのうた」を聞いてひろくんで胸がいっぱいになり「夏祭り」を入れてしまった。ひろくんが手伝ってくれないとうまく歌えない。私はひろくんがいないとだめだ。ひろくんが恋しい。思わずメールした返事は「院試勉強中だから」というそっけないものだった。邪魔してしまったと申し訳なく思ったけど、一方ではそれでも会いたい気持ちが止まらない。ひろくんに会いたくて仕方がない。会って抱き締めたい。いまだに彼女ができてないなんて言われたら私が男にしてあげちゃうわ!とか言い出しそうだ。そんなノリで先輩の車でバス停に送ってもらう。ひろくんの家を横目に通り過ぎる。そんな不完全燃焼な今の私の心情がこれです。)


改行なしで書き殴ってみた。読む人なんているのかな。